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丁張マンの歴史 土木計算機誕生話 | 土木工事測量の株式会社コイシ

株式会社コイシ 代表取締役 小原文男

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土木関数電卓機「丁張マン」誕生の秘話


歴代の丁張マン|土木計算機 コイシ

歴代の丁張マン

 現場監督をしていたときに、関数計算機が手に入って喜んでいた時代でした。sin、cos、tan、√、pol(ピタゴラス)、π、sin-1、cos-1、tan-1。毎日、毎日、BCにトランシットを据えIPを視準しての角度と距離を手計算していました。

 当時現場で教えていただいたのは、1718.87×L(BC~の距離)/R/60が振り角、2Rsinθが弦長、この二つが私の基本でした。この基本を解くと、360:2πR=角度(X):BC~の距離、丸暗記から少しずつ全ての基本が分かってきました。 全ての道路に@5.0Mのセンタ-設置、設置したら重機が一瞬にして壊してしまう。左右に逃げ杭(控え杭)を設置したりなど、1kmの林道での作業が大変でした。まあ、今もそうですが、杭や板を運ぶのがとにかく大変でした、道がないのだから。

 そんなときに、ふと思い描きました。もし、センタ-を打たずに直接控え杭が打てたら、BCにトランシットを据えられないときはどうしよう。IPにトランシットを据えて設置できないのか。これらは、関数計算機に数式を入れて解決してきました。

 また、問題は、設置したい測点上で控え杭を設置するときに大きな岩、岩盤、障害物があると、なかなかそこに設置できない。杭は真っ直ぐに入ってくれない。決められたとこに杭を打つことが、一番時間がかかる。手間なうえ、せっかく控え杭を設置しても、杭は曲がってしまう。センタ-復元には使えない。丁張りのみしか使えない。

 独立してからは父と二人で仕事をしていました。センタ-から10mの控え杭を設置していたとき、岩盤にあたりました。それなら11mで設置しようと計算してもまた岩盤、12mも同じでした。父が「ここなら杭が入るから、ここに打つ」と勝手に言うので、「そこに杭を打っても使えん!直線なら計算できるがカ-ブは分からん!」といいました。父はツルハシとノミで岩盤に穴をあけました。手は血だらけでした。私はこれはナンセンスだと悔しさがこみ上げてきました。

丁張り設置|土木計算機 コイシ

丁張り設置

 昭和62年光波側距儀を購入して大きく考えが変わってきました。

 光波は見晴らしの良い一番便利なとこに据えて、用地巾杭はあるのだから、先に杭を設置して、その杭が丁張杭になれば、センタ-もいらない。控え杭もいらない。直接に丁張り杭を打てばよい。夢の中で円の中心があるではないか、それなら、杭の座標が分かれば計算で出ると飛び起きて、ロ-タスで数式を作りました。

 さっそく、現場で杭を適当に打ち、釘を打ち、光波で確認、座標からその釘がNo.○+○、センタ-からの距離が○mと表示できたときは興奮しました。その表示された測点に、杭を設置し控え杭までの距離を確認して、ピッタシだったとき、これは特許だと一人叫びよろこびました。ただ、私はパソコンでこれを作っていたので、一回一回家に戻らないと答えは分からなく、また、センタ-を設置していないから丁張りの方向も分かりませんでした。

 そこで悩んでいたときに、それと同じものを関数計算機で作っていた人がいました。それが石川氏でした。その計算機には、もう一つすばらしい機能が入っていました。それは、『座標変換』でした。当時は、移動と回転は別々のプログラムでしたが、大座標(公共座標)から小座標(自分たちに分かりやすい便利な座標)に変換できるプログラムも備えていました。そこからお互いがこれは使える。いろいろ応用、活用ができると気づきだしました。


 光波を任意に据えて自分の位置を割り出すプログラム、土木はすりつけ(比例)が多いから擦り付けプログラムなどをまとめ商品化へと移行していきました。
問題はクロソイドカ-ブでしたが、石川氏が解決しました。それが平成元年だったと記憶しています。

コイシに頼むと丁張り設置が早いとたくさんの現場監督さんが遊びに来られ、「購入したい」といってきました。これが商品化になるきっかけになりました。